時代にそぐわない風俗法
クレイジーにダンスを踊る若者は、明らかに理にかなわない風俗法の高まる脅威など気にも留めていない様子。昨年後半、Wall Street 2に警察の手入れがあったというニュースは、多くの人々を困惑させた。 同クラブは、午前 1 時にダンススペースをオープンしていたという理由から風俗法の下、閉店に追い込まれている。風俗法と言えば、日本の法制度のなかで、もっとも非現実的な法律と言えるだろう。
この風俗法に従えば、合法にナイトライフを楽しむことの方が難しいのだ。 アメリカの禁酒法施行当時のもぐり酒場のように、日本のクラブやバーは厳しい法の下、処罰の対象となっている。そのため、合法的にダンスをしたり、楽しんだりするスペースを営業することは事実上不可能なのだ。

風俗法の謎
とは言え、人々が想像し得るあらゆる娯楽スペースに当てはまる風俗法では、いささか危険性を伴う気がしてしまう。
キャバクラや麻雀荘、レストラン、バー、会議場、ダンスホール、ゲームセンター、客席を設け、風俗目的での使用が懸念される 5 平方メートル以下のあらゆる営業所など、これら全ての営業施設は全てこの法律の対象となる。
そのため、上記の施設を営業するには許可が必要であり、規則には無論従ねばならない。 夜明けまでダンスを楽しむことは、40 代以下のシングル大半だけでなく既婚者や年配層の大部分にまで人気のある娯楽である。
風俗法第 2 条第 3 項では、ナイトクラブが風俗法を遵守しなければならない営業所である旨が示されているのだが、風俗法に従いながらナイトクラブを営業することなど可能なのだろうか。まさに謎である。
加えて、同法第 15 条では、クラブが営業所の周辺状況を考慮し、条例以上の騒音が生じないよう政令に則り、営業を営むことが義務付けられている。

騒音は持ってのほか
これらの法律によると、「バーやレストランの夜間営業中に騒音が生じた場合、地方自治体が周辺環境を保護すべく騒音量を計測し、各都道府県の物理的および社会的条件に合わせ営業時間を規制できる」と記されている。
つまり、クラブが営業を続けられるかどうかの決定は地方自治体に委ねられていると言うことなのだ。
東京に長らく住んでいる人々であれば、2005 年に閉店に至ったクラブ Maniac Loveについて覚えている人もいるのではないだろうか。今思えば、同店の閉店は風俗法第 15 条に抵触したのではないかと推測できるのだ。
厳しいアルコール販売
とは言え、実際のところ Maniac Love はその他の点でも風俗法に背いている。 例えば、第 32 条第 1 項 2 号では、「深夜(東京の条例では午前 1 時から夜明けまで)において客に遊興をさせないこと。」と記されており、
人々が楽しむことを許可していれば、ナイトクラブのオーナーが法を破っている可能性を示唆している。
その他の疑問の残るルール: 第 23 条第 6 項には、「都道府県は深夜において酒類提供飲食店営業を営むことを禁止することができる」と述べられおり、
都道府県の意向により、顧客へのアルコール販売が禁止できる旨が明記されている。

踊ることは悪くない
今や多くの法律のためにクラブはジレンマに駆られている。つまり、営業を続けたければ法を破らなければならないのだ。
クラブオーナーたちの多くは公にしたがらず、罰金を恐れ、風俗法について話し合えないでいる。 とは言え、この法律はイベントを取り締まる際にも利用されている。
例えば、麻布に Eleven として生まれ変わったかの有名ナイトクラブ Club Yellow は度々警察沙汰となり、散発的に営業の一時停止に追い込まれた。
こういったイベントに参加したことのある人であれば、ダンスフロアで踊る何百という人々を一気に店外へと出すことで、警察が事故の危険性を増やしているのではないかと気になってしまうだろう。
先日、自らのブログで風俗法についての意見を明らかにしたm-flo DJ Taku Takahashi は、法の不平等性について前述で不満を漏らしながら、「音楽好きには好きな時間に大きな音で踊り狂う権利があります。(原文抜粋)」とまとめている。
ブログのなかで彼は、 ID チェックによりクラブに未成年者が入れないこと、ドラッグをする人が集まる恐い場所というイメージは単なる作り話であること、さらには防音装置や警備員の手で周辺に音が漏れたり、迷惑をかける事がないようにきちんと取り組まれていることなどを説明している。
ちなみに同コメントは、自治体により大晦日のカウントダウンパーティーが中止に追い込まれた後に書かれたようである。
法改正のとき
Takahashi の意見はもっともだ。 クラブは、風俗法により不当な悪評価を受けている。 人々は音楽が好き。 人々は踊ることが好き。 そして人々は友人と共にお酒を飲むことが好きなのだ。 まさにクラブは文化の拠点と言えるだろう。
先日、Creative Commons の CEO 伊藤穣一氏 は BBC に対し、 「ナイトクラブで働いたり、楽しんだりしながらたくさんの事を学びました。
沢山の面白いことが起こるナイトクラブは、人々が互いを助け合う、言わば労働階級のコミュニティーのようなものだと感じています。」と話している。
クラブで未来のパートナーと出会った人さえいるほど。 人口減少が不安視される国家において、クラブが大きなプラス材料になることは間違いない。 21 世紀となった今、ナイトクラブが社会に与える良い影響を考慮して風俗法に反映させる時なのではないだろうか。




