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北斗星: 東京 - 札幌を 16 時間で繋ぐ寝台特急

北斗星: 東京 - 札幌を 16 時間で繋ぐ寝台特急

廃止になってしまう前に、東京と美しい北国を結ぶ、首都圏からの最長路線を満喫しよう
HokutoseiHokutosei is one of the few remaining "blue trains" in service, and compared to the Cassiopeia and Twilight Express, is actually blue.

毎週 700 便が就航する東京 - 札幌間は、世界有数の旅客高を誇る航空路線だ。 飛行時間はたったの 1 時間 30 分で、往復チケットは 25,000 円以下。首都圏から北海道へ行くには、最も効率の良い交通手段と言える。

しかし、「マイペースに時間をかけてみる」というのも、時には良いもの。 筆者が さっぽろ雪まつり& へ出かけた時も、利便性を最重視していたわけではなかった。 そこで今回は、日本の鉄道マニアに習い、寝台列車で 16 時間かけて札幌まで向かうことにした。&

列車の選択肢は 2 つ: 北斗星 vs. カシオペア

かつて日本では、主要都市を結ぶ寝台列車ブルートレイン&が普及していた。 ところが、航空チケットの値下げなどにより、JR は、過去 10 年間で、寝台列車路線の大部分に対する減便または廃線を余儀なくされた。 2008 年から 2009 年に 5 つのブルートレインが廃止となり、現在も運行を続けているのは、6 列車のみである。そのうち、東京 - 金沢間を走る北陸は、 2010 年 3 月を目処に定期運行終了が予定されており、残るは 5 列車のみとなる。&

東京 - 札幌間を運行する寝台特急は、高級列車カシオペアと通常列車北斗星の 2 種類あり、共に人気便であるため、しばらくは廃止を免れるだろう。 両列車とも、&東京発としては最長距離を運行する寝台列車であり、大阪 - 札幌間を運行するトワイライトエクスプレスに次ぎ、国内 2 番目の長距離路線を走る。

予算に余裕があるのなら、カシオペアがお勧めだ。 個室料金は、44,460 円(1 人につき)と決して安くないが、お洒落で高級感溢れるカシオペアは、ムードのあるハネムーンの演出にぴったりである。北斗星よりも新しく、寝室の数は少ない。 それと対照的な北斗星は、ギーギーと軋んだ音のする昔ながらの寝台列車で、値段もずっとリーズナブル。 また、札幌 と東京の両方から毎日運行しているので、週 3 日のみ運行のカシオペアよりもずっと便利である。&

さらに、北斗星には、一人用個室 「ソロ」 (東京 - 札幌間 25,270 円) や 4 人まで乗車可能な B 寝台 (東京 - 札幌間 25,270 円)もあるため、一人旅行にも適した寝台列車と言えるだろう。 デスクやシャワールームを完備した高級感ある空間が魅力の個室 「ロイヤル」(36,150 円) は、あまりの人気でいつも数秒で完売となる。&

今回の旅行の条件(一人旅、カシオペアの運行しない木曜出発、ヒッチハイクしなくて済む程度の予算)に、バックパッカー精神も相まって、筆者は、北斗星での旅行を決意した。 さっぽろ雪まつりへの旅行を計画したのが、まつり開催の 1 週間前だったため、「ソロ」は既に満席、 B 寝台しか残っていなかった(計画はお早めに)。&

東京出発

北斗星は上野から毎日午後 7 時 3 分に発車、翌朝午前 11 時 15 分に札幌に到着する。 この間北斗星は、15 駅に停車するのだが、そのほとんどが、翌朝停車する北海道の小さな駅である。 東京 - 札幌間は 16 時間を若干超える程度(飛行機の約 10 倍の乗車時間)であり、この乗車時間の長さが、列車の旅の好き嫌いの分かれ目となるだろう。&

嬉しいのは、乗客の興奮が肌で感じられるということだ。 JR 上野駅の奥にある、人目につかないプラットフォームで北斗星を待っていると、列車の到着よりも先に目に入るのは、三脚に望遠レンズカメラを取り付け、北斗星の登場を待ち構えるメガネをかけた鉄道マニア達である。 乗車後も、皆一秒たりとも逃すまいと、北斗星の通路や食堂車での食事まで、一部始終をカメラに収める。&

Hokutosei
The B-Shindai sleeper compartment.
この期待溢れるプラットフォームでの待ち時間は、乗車後個室へと消えてしまう北斗星の乗客を観察する絶好のチャンスだ。 筆者が乗車した時は、たくさんの若い家族連れに、中高年の個人旅行者、中国人団体客、そして 20 代や 30 代の細縁メガネを掛けた男性個人旅行者が大勢いた。&

乗車後、すぐに B 寝台へ行き、早速同じ個室にいる乗客の観察を始めた。 車内最低料金の個室であるにもかかわらず、 B 寝台は、思ったほど悪くはない。 ベッドは、長さ 2 メートルほどであり、シーツ、枕、シーツのかかったブランケットや浴衣まで用意されている。 カーテンを閉めれば、プライバシーもかなり確保できる。

2 段ベッドの下段を使っていた中国人観光客の Lily Su さんは、上海人ツアーグループの中で北京人が自分 1 人だけであることに不満を漏らした後、流暢な日本語で「中国では、こんな寝台列車にはなかなか乗れないし、東京から札幌までの景色を見てみたくて北斗星を選びました。(原文英語)」と話してくれた。

Lily さん同様、筆者も東北地方の景色を見るのを楽しみにしていたのだが、残念ながら、夜行列車はその目的には不向きである。 窓際の折りたたみイスに腰掛け、景色を見ながら、前もって買っておいたサンドイッチで簡単な夕食を取った筆者だが、乗車から 1 時間、窓から見えたのは、格安家具店ニトリや、パチンコ店のネオンサインだけ。 寝台列車からの夜景としては、さびしいものであった。&

まずはロビー

夕食後、 6 号車にあるロビーを見るために寝台を後にした。 北斗星が運転を開始したのは、青森と函館結ぶために、津軽海峡の海底下に掘削された青函トンネルが開通した 1988 年である。 ロビーは、それ以降大きなリフォームが加えられていないようだった。 シミの付いたソファに、&大沼国定公園など、黄色いバックライトが当てられた北海道の名所写真。 自動販売機には、東京ではお目にかかれない、飲料メーカー、サッポロの

Hokutosei
The lobby car.
ジュースやお茶が販売されている。 さらに、タイムスリップして携帯電話が突然使えなくなった時のためなのか、緑色の公衆電話のブースまでが設置されている。

ロビーは、友人、家族と賑やかに語らおうという雰囲気なのだが、筆者が居合わせた乗客たちは、皆物静かであった。 記者がロビーに居る間、そこに居た物静かな 2 人は、暗闇が写る窓際でお弁当をひたすら食べているし、 寿司を食べ終わるとすぐに出て行った家族連れが一組。 One Cupを飲みながら、タブロイド誌『 Flash 』の最新号に見入っていた、いかにも起きがけ風のシワシワな洋服にもじゃもじゃ長髪の老人。 そして、KaepaCanterbury のジャージを着た退屈そうなサラリーマンが、時折ふらりと立ち寄り、ロビーをぐるりと見回した後、黙ったまま数分座り、5 分もしないうちに出て行くといった感じであった。 午後 7 時 36 分、アメリカのアニメ『モンスター vs. エイリアン』が、突如テレビ画面に登場した。 北斗星の夜はこれから。

食堂車: パブタイム

ロビーで退屈な時間を潰す我々とは対照的に、乗車後の数時間を食堂車グランシャリオで過ごす乗客もいる。 北斗星の食堂車では、フランス料理のフルコースディナーがを 7,800 円、北斗星懐石御膳を 5,500 円で楽しめる。 どちらも事前予約が必要である。

しかし、午後 9 時 15 分以降は、この食堂車を「パブタイム」として乗客全員が利用することができる。 午後 9 時 16 分にさっそうと到着した筆者は、窓際近くの一人用のテーブルに座ることができた。 全てのテーブルにランプが置かれ、食堂車には、オリエント・エクスプレスを思わせるお洒落な雰囲気が漂っている。 午後 9 時 20 分までには、食堂車は、オタクの雰囲気を醸し出す独身男性客で一杯となった。 食堂車に入ってくる客は増える一方で、最終的には、オタク組は同じテーブルに相席せざるをえなくなった。 しかし、至近距離に座りながらも、鉄道マニアたちは、オタク談で盛り上がることもなく、それぞれテーブルに運ばれる料理の一つ一つを写真に収めるのに必死であった。

メニューには、ビーフシチュー(2,500 円)やビーフカレー(1,200 円)もあったが、筆者のお目当ては、北海道でしか味わえないサッポロクラシック(600 円)。 時折見える、工場から排出される白い煙やファミリーマートの看板のネオンサイン以外は、まるっきりの暗闇という窓からの景色を肴に、パブでお酒を愉しむというのが、北斗星での唯一の社交法のようだ。&

午後 10 時 15 分、パブから客が減り始めたところで、筆者も寝台へ向かった。 だが、寝室に入る前に、忘れずに、翌朝 8 時にシャワールームを予約しておいた。 北斗星ならではの、走行中の列車内でのシャワーを体験しないわけにはいかないからだ。

寝台列車で就寝: 案外難しい

Hokutosei
The official Hokutosei blanket logo.
北斗星について、一番に理解しておくべきことは、「揺れ」だ。 いや、とにかく本当によく揺れるのである。 高速でスムーズな新幹線に乗り慣れている人は、ガタガタと揺れる寝台列車に驚くかもしれない。 16 時間も、ゆっくりと進む寝台列車の衝撃や振動を感じ続けるのである。 少々風邪気味だったせいもあってか、筆者は、不規則に揺れるこの寝台車で、あまりよく眠ることができなかった。

しかし、寝室そのものは決して悪くはない。 JR 柄の浴衣に着替え、午後 10 時 30 分にカーテンを閉め床に就いた。 灯りを消すと、カーテンの中は真っ暗。 他の乗客の存在を唯一感じさせるのは、 3 ドア先から漂ってきたタバコの煙のみである。

午前 6 時。数時間の軽い睡眠の後、午前 6 時 45 分の函館駅到着前に、朝食を求め食堂車に急ぐ乗客の物音で目が覚めた。 他の乗客の音に気がつかずにぐっすり眠っていたとしても、列車が 7 分遅れであることを知らせる、午前 6 時 15 分のアナウンスで目が覚めただろう。

北斗星で目覚めると、そこは北海道。 朝の眩しい光の中、列車の大きな窓から北海道の景色が一望できると思いきや、冬、目前に広がるのは一面の銀世界である。 冬景色を好む人にとっては、申し分ない景色だ。 しかし、雪の下にある北海道を見たい人にとっては、残念である。&

寝台を共にした中国人観光客が函館駅で下車したので、下段の彼らのベッドで朝食を取りながら景色を楽しんだ。 チケット購入時のお勧め情報: プライバシーを重視する人には、上段ベッド、窓からの眺めを重視する人には、下段ベッドがお勧め。 下段ベッドでは、ゆったりと横になりながら景色を満喫することもできる。

シャワーの使い方

寝台列車は、移動と宿を一つにしたようなもの。札幌には、やはりさっぱりと清潔な身なりで降り立ちたい。 そんなわけで、北斗星にはシャワールームが付いているのだ。&

午前 7 時 58 分、記者は、長すぎる浴衣に身を包み、ロビーの傍にある、シャワールームへと向かった。 300 円で、シャワー室 A か B を 30 分間利用可能なのだが、ぜひ覚えておかなければならないのは、お湯は 6 分間しか出ないということだ。 だが、広々とした脱衣所のおかげで、案外スムーズに事は捗る。

お役立ち情報: タオルと石鹸は用意されていないので、自前で準備しよう。 シャワールームに入り、一度鍵を掛けたら、ドアは開けないように。ドアを再度開けると、お湯は完全に止まってしまい、2 度と出ない仕組みになっている。 鍵を掛ける前に必要なものが揃っているか確認しよう。

札幌到着までの数時間と北斗星総評

Hokutosei
A collapsed building is part of the morning scenery in rural Hokkaido.
朝食から札幌到着までの数時間は、北斗星から最高の景色を満喫できる。 もちろん、雪で一面覆われているものの、広大な松の森に小さな村々が見え隠れし、絵に描いたような美しい景観が目前に広がる。 牛や馬、さらに運が良ければ、大きな鹿まで目にすることができる。 明るい黄色や深紫、緑にニンジン色など、北海道のカラフルな屋根の家も見所である。

ただし、北斗星の窓からの景色の大半は、暗闇だけの夜景なので、景色を堪能することを一番の理由に北斗星に乗車することはお勧めできない。 では、鉄道マニア以外の乗客にとって、北斗星の魅力とは? B 寝台で同室した、東京でテレビプロデューサーをされているムロタニ・サチエさんに聞いてみた。

「急に、仕事で札幌まで行かなければならなくなったのですが、北斗星の方が飛行機よりも 3,000 円安かったのです。 帰りは、飛行機で帰る予定ですが、あまりに短時間で着いてしまうと、本当の旅行ではない気がしてしまうのですよね。」と話してくれた。

このムロタニさんの言葉が、まさに的を射ている。 札幌までの旅の道中をじっくりと満喫したい人にとって、北斗星寝台特急列車は最高の方法である。 単独旅行者は、気兼ねなく読書にふけったり、考え事をしたりすることができ、カップルや家族連れは、日々の喧騒に煩わされることなく、お互いとの時間を楽しむことができる。 東京 - 札幌間の交通手段としては経済的でも効率的でもないけれど、飛行機や新幹線では味わえない、古きよき時代の旅のロマンのようなものを感じさせてくれる。 揺れは避けられない北斗星だが、独特の魅力がある。

料金と乗車券

北斗星の乗車券はJR 北海道で購入可能だが、主要駅のみどりの窓口での購入するのが一番簡単だろう。 「ロイヤル」は 36,150 円、「ツインデラックス」は 32,230 円(1 人につき)、「ソロ」、「デュエット」、「 B 寝台」は 25,270 円(1 人につき)。

ジャパンレールパスを使えば、6,300 円の追加料金 (ロイヤルとツインデラックスは 27,000 円割増)で北斗星に乗車可能。

北斗星は、午後 5 時 12 分に札幌から東京へ出発する。

リンク

北斗星全車を写した写真はこちら:

Sonic Rail Garden : Hokutosei

ほどちゃんの島: 北斗星

YouTube: 1 時間 30 分に渡る北斗星の映像

未公開
W. David Marx は、 CNNGo 東京編集者である。 アメリカ合衆国南部出身の David は、ニューイングランド州で東アジア学を学び、アメリカ南東部で雑誌、Tokion の編集者として働いた経験を持つ。 2003 年に東京に移り住んだ後、消費者行動学の学位を取得。広告業での経歴や、GQ、Brutus、Weekly Diamond、Nylon といった雑誌のフリーランスライターとして経験を積む。その他にも、数々のニッチブログを創設したり、ニューヨークのインディーズレーベルから 2 枚のアルバムを発売するなど幅広く活動している。
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