Akiko ジャズ歴 10 年の独創精神
ジャズシンガーとしての活躍 10 周年を記念した新アルバム『Akiko』石井明子がジャズ界でのデビューを飾ったのはちょうど 10 年前。当時 24 歳だった彼女は、 R&B スタイルにパンクロックなテンポを取り入れ、三つ編姿でお堅い世界に飛び込んだ。
「当時、日本のジャズ界は今よりもずっと形式ばっていましたね。 洗練されたイメージに加え、スウィングやクラッシックなど特定のスタイルやカテゴリーに見合っていなければジャズシンガーとして見なしてもらえませんでした。(原文英語)」と Akiko は話す。
日本の草分け的ジャズシンガーとして、今年デビュー 10 周年を迎える彼女は、『Akiko』と名付けたコンピレーションアルバムを 11 月 3 日に リリースした。

ジャズを新たな観点で
Akiko 自身が作詞、プロデュースを手掛けたオリジナル曲『What’s Jazz?』からスタートする同アルバムには、過去に発表された 7 枚のアルバムから 18 曲が収録されている。
2005 年に発表した同タイトルのアルバム以降、歌詞や歌を思いつくのに時間がかからなくなったと Akiko は言う。
「これは、私が長い間考え続けている疑問でもありますね。」と、ジャズリズムでありながらスーっと耳に入る優しい歌声を持った Akiko が話す。 「スタイルやリズムによってジャズとして定義されるものなのか。即興を加えなければジャズとはよべないのか? そもそもジャズって、楽しくて自由な音楽であるはずですよね?」
自由な形でジャズを表現する Akiko は、この音楽を一から学んだわけではない。 事実、大学で英文学を専攻していた彼女は、学生時代はあまり勉強に力をいれていなかったと気取りもせず楽しげに話してくれた。
「14 歳になるまでは勉強が大好きだったのです。」
埼玉出身の 彼女は、音楽とは無縁の両親のもとに生まれた。 「私の両親はいつもテレビを観ていましたね。」
そして、幼稚園に入り、ピアノとの出会いを果たした 4 歳の Akiko は、母親にピアノを習いたいと頼んだのである。
パンクとパーティー
それから 10 年後、14 歳になった Akiko は London Nite と呼ばれるパーティーを中心にパンク、ロック、パーティーとの出会いを果たし、後にパーティー会場でもあったとあるクラブで Universal Music に見出される。
そこではアルバイトを始めたのだが、同クラブで演奏していたギタリストと共にジャズを歌うことになったのだ。

そして 2001 年、Verve レーベルからデビューを果たした Akiko は Universal Jazz Japan 初の日本人女性アーティストとなった。
自身の音楽の原点となった London Nite への敬意を示すべく、2009 年には「ラジオスターの悲劇」など London Nite の定番ミュージックをカバーした『Hit Parade -- London Nite トリビュート』を発表している。
ジャズと DJ
平和的独創性と交流、コラボレーションの賜物であるジャズの真髄を胸に、Akiko は、大学時代にパーティーで知り合った様々なクラブ DJ とタッグを組み、アルバムをリリースしている。
アルバム製作のため、Akiko が初めてコラボ話を持ちかけたのはクラブジャズを演奏する DJ、須永辰緒氏であった。まさに前代見聞の出来事。
とは言え、これまでのジャズとは違った面白さをコラボで表現したかった Akiko にとって、形式ばったジャズを学んだジャズエリートではない須永と自身との共演はぴったりだったのだそう。
『Mood Swings』と名付けられたこのアルバムは、日本の若者を中心に多くのファンを獲得することに繋がり、スウィングジャーナル主催ジャズディスク大賞で 2003 年ジャズヴォーカル賞に輝くきっかけとなった。
続いて発表された『Mood Indigo』では、ADLIB マガジンの Best National Club/Dance Disc 賞を受賞している。

J ポップコラボレーション
Akiko の独創的なコラボレーターのもう 1 人と言えるのが、SMAP や中島美嘉といったスターのプロデューサーとしても知られる元 Pizzicato Five の小西康陽氏。小西氏は、Akiko の音楽ルーツでもあるジャイブに焦点を当てた 2005 年リリースの『Little Miss Jazz & Jive Goes Around the World』のプロデュースを担当した。
ジャズシーンを広げようとする試みは、間違いなく日本のジャズ界に大きな変化をもたらし、クラブジャズと主流ジャズの間にあった大きな溝は現在ほぼ埋まりつつある。
「もともと主流になっている一般的なジャズがアコースティックであるのに対し、クラブジャズはエレクトロミュージックだと考えられていました。 それが今では、クラブジャズでアコースティックな音楽を使うときもあれば、主流のジャズで電子ビートが使われることもあります。ジャズの境界が和らいできているのですね。」と Aiko は説明する。
ファッションやデザインにも目が無い Akiko は、これまでにアルバムカバーのデザインも自ら手掛けている。
「パンクやブルース、ロックでジャズを表現したいのです。私からすればどんな形であってもみんなジャズなのです。 ジャズはスピリットであってスタイルではありません。」
そんな彼女の思いは『What’s Jazz』の中でも歌われている。
To me jazz is a spirit, that’s why I sing as I sing today, and I’ve been singing all I feel is jazz
(ジャズは私にとってスピリット。だから今歌っているみたいに歌ってるのよ。感じたことを歌う、それがジャズ)。




