男鹿(おが)のなまはげ: ワイルドな山の神
男鹿半島の柴灯(せど)まつりは、なまはげが子供たちを怖がらせよい子にさせるという、まさに「愛のムチ」伝統行事である
By Hiroko Yoda 1 April, 20102 月の第 2 土曜日、日暮れ時。 筆者が居るのは、東京から何百キロメートルも離れた、男鹿半島の山奥である。 あたりは一面の銀世界。 真山神社の境内で、他の観光客とともに寒さで震えていた。 すると突然、真っ暗な山へと続く小道から、夜空に響き渡る大きな唸り声が聞こえた。 ウォー、ウォー!という雄叫びとともに、観客からは興奮した歓声が上がる。[フォトギャラリーを見るには、上記の写真をクリック]
なまはげの登場だ!
15匹のなまはげ達は、ドスンドスンと足を踏みならす。高く掲げた松明の灯りの下、もじゃもじゃの髪に恐ろしい鬼の面、藁を身にまとったなまはげの姿が見えた。 「泣ぐ子はいねがー!」 と、なまはげが荒々しい声で叫ぶ。
もともとこれは、毎年大晦日になるとなまはげが山から下りてきて、悪い子供を探して暴れるという、民話を元にした男鹿半島の伝統行事。 昔はどうだったかわからないが、現在は地元の男性がなまはげに扮し、この行事を行っている。 桶と出刃包丁(作り物)を持った恐ろしいなまはげが、家々を訪れては、悪い子を探してと暴れ回る。幼い子供たちは恐怖感でいっぱいだ。
子供だけでなく初嫁も、なまはげの標的となる。 一家の主人は暴れるなまはげをなだめながら食べ物やお酒で丁重にもてなす。 主人の丁寧なもてなしによって鎮まりつつも、なまはげは「言うことを聞かない悪い子が居るようなら、また戻ってくる」と言い残し、一家の一年の無病息災を祈って家を後にする。 なまはげに対する恐怖感から、どんなに悪い子でも改心してよい子になるそうだ。
新年に行われる行事は、地元住民だけのものであるが、それとは別に観光客向けの催しも存在する。 12月31日には、多くのホテルや旅館でなまはげ行事が行われ、観光客も地元同様の伝統を体験することができる。 また、2 月の第2 金土日の三日間、真山神社で「柴灯まつり」と呼ばれる観光者向けのなまはげ祭りが開催される。
筆者が訪れたのは、この「柴灯まつり」だ。
午後 6 時、なまはげのお面への入魂儀式が行われた後、地元の男性達は、一夜限りのなまはげとなる。 山奥にしばし身を潜めた後、なまはげに変貌した男たちが下山してくる。 境内で焚かれる柴灯を囲み乱舞する「なまはげ踊り」や「なまはげ太鼓」。観客の中から子供を見つけては、その勇壮な姿で怖がらせる。 なまはげに頭をなでてもらうと、子供、大人にかかわらず誰にでもご利益があるという。 民話をそのまま再現したようなこの幻想的な雰囲気に、観客は寒さも忘れてしまう。
「柴灯まつり」が終わりを告げるころ、なまはげは、災難除去のご利益がある護摩餅を振る舞ってくれた。 なまはげが落として行った一筋の藁を手に取りながら、男鹿の子供たちは、今年もきっといい子にしているに違いないと思うのであった。
行き方とスケジュールは、&www.oganavi.com から。
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