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自然に満ちた高級料理

自然に満ちた高級料理

Les Creations de Narisawa のシェフ、成澤由浩氏は東京でお皿の上に森を再現
Les Creations de Narisawa自然風景を料理で再現:ウズラ肉の編笠茸乗せ、森の新鮮なそよ風仕立て。

Chef Yoshihiro Narisawa, of the Michelin-starred restaurant Les Creations de Narisawa, is known for crafting elegant dishes imbued with a profound reverence for nature. Last January, he took part in an unusual culinary event to raise awareness of environmental issues called Cook It Raw. Narisawa joined 12 of the world’s most talented young chefs for three days of fishing, hunting, and foraging in the forests of Fruilli, on Italy’s border with Slovenia. The object: to create a spectacular feast using strictly local ingredients and minimal energy. The theme: Winter was hard.

ミシュラン星獲得レストラン、Les Creations de Narisawaのシェフ、成澤由浩氏は自然への深い愛情が詰まったエレガントな料理に定評がある。 昨年 1 月には、環境問題について人々に訴えかけるCook It Rawという珍しい料理イベントにも参加。 このイベントで成澤氏は世界各国から集まった才能豊かな 12 人の若手シェフと共に、スロベニアとの国境に位置するイタリアのフリウリの森で釣り、狩り、食料採取を 3 日間に渡り体験した。 そこで手に入れた食料と最小限のエネルギーを使って素晴らしい料理を作るというのが同イベントの趣旨である。 ちなみにテーマは、『Winter was hard (厳しい冬)』だった。

食料は非常に限られていたが、成澤氏は森林の中でインスピレーションを得た。 味噌漬けにしたシカ肉をハチミツに浸した果物で飾りつけた料理で、専門家を圧倒させた。 

大地のエネルギー

シェフ、成澤由浩氏
シェフの成澤由浩氏のミッションはお皿で自然を再現すること。
「情報の乏しいなか、田舎町である地元の農場、市場、豚の解体処理場を訪れたり、釣りをしました。次に何が起こるのかわからない状況のなか自然の風景に目を向け、大地のエネルギーを肌で感じることができたのです。(原文英語)」と、成澤氏は語った。

森をテーマにした今春の Les Creations de Narisawa のメニューは、こうしたフリウリでの体験が基となっている。 メープルシロップや粉状にしたクリの木など樹木から採れたものを混ぜ、ホットストーンで焼いた forest bread (森のパン)は、素晴らしいハーモニーを醸し出している。 野生のハーブや山菜、花の芽がメニューにふんだんに使われている点も非常に斬新である。 現在は、木の新芽や若葉を料理に取り入れる方法を試作中。

41 歳になる成澤氏は、常に新しい食材を探求し、技術を磨き続ける探究心溢れるシェフなのだ。 1997 年には大学教授や科学者と共に食肉を料理するのに最適な温度(摂氏 60 度)を調査したほか、通常グリルに利用される炭に興味を抱き、そこからヒントを得て黒く焦がした野菜を調味料として使用している。

キッチンが遊び場

愛知県生まれの成澤氏は子供の頃からシェフになることを夢見ていた。

「祖父が和菓子店、父親が洋菓子店を営んでいたため、私にとってキッチンは遊び場でした。(原文英語)」と、成澤氏。

フランス料理を学ぶために 19 歳でヨーロッパへ渡り、ジョエル・ロブション氏やポール・ボキューズ氏といった有名シェフのもとで修行を積んだ。その後、1996 年に日本に帰国、神奈川県小田原にある海辺の町に第 1 号店となるレストランをオープンした。 それから 7 年の歳月を経て、成澤氏は妻と共に東京に移り、 Les Creations de Narisawa をオープンさせたのである。 2008 年、Les Creations de Narisawa は初のミシュラン星を獲得したほか、『ザ・サンペレグリーノ 2009 年世界のベストレストラン 50 』にも日本のレストランとして唯一選ばれている。

Les Creations de Narisawa
芸術と科学の融合から生まれた最高に美味しい松坂牛。
成澤氏は独特の手法を用い、お皿の上に自然風景を再現していく。 アロゼと呼ばれる料理法を使い時間をかけて調理した肉汁滴るウズラ肉には、マッシュルームのワイン煮、砂糖で絡めたジャガイモの皮、カリッと揚がった日本野菜が添えられている。まさにお皿で味わう森林だ。 又、この料理には木の枝を彫って作られた小さなカップに入った樹液を使った爽やかな飲み物もついてくる。 たっぷりと盛られたグリーンアスパラガス、そら豆、編笠茸を囲むようにカラフルなハーブや花が飾り付けられた味わい深いミモレットチーズスープは、美しい英国ガーデンを思わせる。

自然のインスピレーション

成澤氏のメニューには俳句を感じさせる料理も登場する。 「大地の味」とも言える有機ごぼうを使ったスープには、調味料が全く使われていない。そのため、ごぼうという野菜そのものの味わいをじっくりと堪能できる。 スペイン北部に位置するバスクの霧深い海岸からインスピレーションを得た「Ash 2009」は、窒素凍結でパウダー状になったオリーブオイルとレモンジュース、パプリカの炭を網焼きイカにたっぷりとかけたもの。 イカの表面から立ち上る湯気は、オリーブオイルとレモンジュースの粉を溶かし、真っ黒なビネグレットソースへと形を変える。 最後を飾るのは、信じられないほどしっとりと柔らかい松坂牛。こちらには炭状にした日本ネギが薄くかかっている。

成澤氏の夢は、新鮮な旬の食材を使って作り出される料理を通し、人々が自然に関心を向けてくれること。 さらに、昔ながらの日本文化や食材を体験できる田舎をぜひ訪れて欲しいと言う。

「伝統的な日本の食文化がスローフードであったという事実は、日本人からも忘れられつつあるのです。(原文英語)」

Les Creations de Narisawa: 港区南青山 2-6-15、電話: 03-5785-0799