Jump to Navigation
ホッピー、電気ブラン、ホイス: 東京のユニークなお酒 3 種

ホッピー、電気ブラン、ホイス: 東京のユニークなお酒 3 種

これらのお酒はかつての日本の懐かしい味。 それゆえに、最も東京らしい酒といえるかもしれない
HoppyHoisu is very refreshing when enjoyed in highball form. Refreshing here meaning "almost completely flavorless."

東京は様々なもので有名な都市だが、東京発の酒の知名度はこれまで決して高くなかった。 飲み屋は星の数ほどあるが、ビールはだいたい国内の大手メーカーのもの、日本酒や焼酎は東京以外のものがほとんどだ。

ところが、数は少ないが、本物の東京人ならぜひとも知るべき、地元東京生まれの酒があるのだ。 次に紹介する 3 種の酒は、東京以外で入手するのは非常に難しい。(難易度が低いものから紹介)

1. ホッピー: ビールの代用品

ホッピーは、水、大麦、酵母から作られた炭酸醸造酒。 レギュラーとブラックがあり、一件ビールのようであるがアルコール度数はわずか 0.8%。  これじゃ夜を迎えるには物足りないという人も心配なく。 ホッピーはこれだけで満足するためにある酒ではないのだ。

多くの日本人が食糧難に苦しんでおり、ビールやウイスキーなんぞは高嶺の花であった 1940 年代後半に発売されたホッピーは、焼酎で 4 対 1 に割って飲むもの。 今でも、ホッピー(ソト)1 本で、焼酎(ナカ)が注ぎ込まれたジョッキ数杯分を割ることができるため、ビールよりもかなり安上がりとなる。

ホッピーの愛飲家と言えば、昔は高年のサラリーマン、ブルーカラー労働者、また定年退職者達だったが、最近では、20 代から 30 代の若い世代に戦後時の古き日本を偲ばせてくれる酒として人気がある。 ホッピーは究極の「昭和チック」な酒なのだ。

豆知識: 炭水化物含有量が低いホッピーの人気の秘密は、ビールのようににすぐにお腹いっぱいにならないことでもある。一晩中飲み明かしたい時にはうってつけ。 ただし、夜が深くなるにつれ増えて行きがちな、 注ぎ足す焼酎の量には要注意。

2. 電気ブラン: 浅草発のブランデー

電気ブランは、19 世紀後半に浅草の由緒あるバー、 神谷バーで発案されたもの。 ブランデー、ジン、ベルモット、ハーブのカクテルで、味はブランデーと言うよりはイエガーマイスターなどのハーブ系リキュールに近い甘い飲み物である。 それでも、安いビールをチェーサーとして飲めば(これが「通」の飲み方らしい)喉越しが良い。

アルコール度数が 30 度の「デンキブラン」 と 40 度の「電氣ブランオールド」の 2 種がある。 さらに嬉しいことに、 電気ブランはボトルでも販売されている。隅田川のほとりに段ボールを広げて月夜の下で夜を明かす場合には、最適なお供になるだろう。

豆知識: 「電気」を名称に入れた理由は、 このアルコール飲料がデビューした1880 年代当時、「電気」が時代の最先端を行く洒落た言葉であったため。 この酒が 1990 年代に発明されていたなら、「サイバー・ブラン」と名づけられたに違いない。

3. ホイス: 超貧乏人のためのウイスキー

「幻の酒」とは言い得て妙。ホイスは、まさに東京で最も入手困難な酒である。 ホッピーが庶民のビール代用であるとすれば、ホイスはウイスキーなしの 水割り をさらに貧乏くさくしたものだ。

1950 年代に安い焼酎のきつい味と臭いをごまかすために生み出されたノンアルコールの万能薬であるホイスは、ホイス、焼酎、炭酸水を 4 対 6 対 10 の割合で飲むもの。 ホッピーや電気ブランとは異なり、ホイスは小売されなかったため、最盛期でも爆発的に広まることはなかった。

現在ホイスは希有な存在であり、東京でもごく限られた居酒屋でしか飲むことができない。 (お勧めは、下北沢にある 源八、世田谷区北沢 2-13-14 ロータス・ハイツ 1 階、電話:03(5430)2343)

さて、気になるホイスの味は、 ソーダと焼酎で割るとほとんど味が分からなくなってしまうほど微かなもの。 ストレートで飲んでも(こんな飲み方をする者はいないが)、ほんのりとハーブと柑橘系の風味が感じられる程度である。 咳止めシロップから味を取り去ったらこんな感じかもしれない。薬なら間違いなくラリってしまうだろうが。

豆知識:
生粋の東京生まれであるにも関わらず、ホイスはこれら 3 種の酒の中で最も「インターナショナル」だ。ウエブサイトによると、ロシアのウォッカとワインに加え、「南米の強壮成分」(どういう意味!?)も配合されているそうである。

Matt Alt は、ゲームソフト等の海外版制作を主としたローカライズ・プロダクション、株式会社アルトジャパンの取締役副社長。 著作として 『Ninja Attack!: 外国人のための忍者常識マニュアル』、『Yokai Attack!: 外国人のための妖怪サバイバルガイド』、『Yurei Attack!: 外国人のための幽霊ふれあいガイド』がある。その他の著作はこちらから。

Read more about Matt Alt