本州の最西端、関門海峡に面した下関市はフグの水揚げ高日本一を誇り、フグ料理が有名だ。 この静かな漁師町には、予想だにしない壮絶な歴史が刻まれている。 そして何より素晴らしいのはその歴史の片隅に触れられることだ。
みもすそ川公園で大砲を撃つ

現在: かつて軍隊が火花を散らした場所は、現在では静かな公園になっている。 下関市は過去の恨みは水に流したと言わんばかりに、100円硬貨を入れれば煙と砲撃音が楽しめる大砲レプリカを砲台跡に設置した。
遅いぞ武蔵!巌流島

現在: それ以後、この島は小次郎の流儀をとって巌流島と呼ばれるようになる。この小さな島へのアクセスは、下関市内の船場から船で10 分ほど。 かつて武蔵が舟を漕ぎ出した場所にはローソンが店を構えている。 一方、小次郎と武蔵が刀を交わらせた巌流島には、 2 人の銅像と舟のレプリカが決闘の瞬間を永遠に留めている。
怨霊が息づく 壇ノ浦

現在: 壇ノ浦と呼ばれる下関市の海岸沿いに、安徳天皇を祀る赤間神宮が建立されている。 赤色の美しい水天門は、母と愛しい息子と夢で出会った竜宮城をイメージ。その階段は、水面へと続いている。
「海」、「平家」と言えば、やはり次にくるのは「平家蟹」だろう。 その昔、甲羅が憤怒の表情をした人の顔に見えるヘイケガニが網にかかると、「平家の怨霊」として大切に扱いび阿弥陀寺(現在の赤間神宮)に奉納した。
赤間神宮はそれだけではない。 社務所の裏にはまわると平家一門墓がある。そしてあの有名な耳なし芳一の木像が安置されている。 芳一は、毎晩現れる平家の亡霊に琵琶を演奏していた盲目の琵琶法師。経を書き損ねた耳を怨霊に引きちぎられるという、ラフカディオ・ハーン氏が書いた怪談話の主人公である。
夜も更けた頃、ちょっとした好奇心から筆者は芳一像を見に神社へと足を運んだ。 漆黒の闇にぼんやりと浮かびあがる、恍惚とした表情がなんとも言えぬ。怨霊との出会いは、人を超越させてしまうのか。 夏の最中でありながら、異様な寒気を覚えた筆者は早々に芳一堂を後にすることにした。耳を無くすのは、芳一だけでは済まされない気がしたからである。
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