1. 私は今、屋根を突き破りその長い舌で室内にいる人間を刺し殺す女の幽霊にビクビクしている。
2. 私は今、政治的な敵に呪いにかけるべく真っ黒な色をした食べ物をこねている。
3. 私は今、木目にラッキーナンバーが現れることを願いながら、木の皮に白い粉を振りかけ、一心不乱に木を撫 でている。
もし、このような状況に一つでもあてはまるようであれば、是非タイへ行って頂きたい。
Mae Nak 像を安置する Wat Mahabhut。黒魔術の女性

Sukhumvit Soi 77 からほど近い仏教寺院 Wat Mahabhut には、恐ろしい幽霊 Mae Nak が祀られている。 愛憎の念が入り交じる問題を抱える者達が足を運ぶ場所だ。人々は供物を捧げながら Mae Nak に祈りを捧げる。 Mae Nak は、はるか昔にその赤ん坊と共に出産中に亡くなった女性である。(余談だが彼女を描いた映画のキャラクターは CNNGo の「タイ映画悪役トップ 10」の第 1 位に輝いている。)
悲しみにくれる夫のため、Mae Nak は再び人間の姿になってあの世から帰ってきた。 だがその姿に戦慄した隣人達は、彼女を追い出そうとする。Mae Nak はその怒りから悪霊へと変貌。その結果、僧侶が Mae Nak の頭蓋骨(額の部分)をのこぎりで切り落とし、彼女の体から魂を追い払ったのである。
現在、Mae Nakを祀る寺 には彼女をイメージした金箔の像が置かれている。 ぽっかりと開いた穴を隠すためなのか、頭部には本物の髪の毛のようなカツラが乗せられ、滑らかな金色の顔は化粧を施したかのような色付けがされている。 金色に光るネックレスを付け、赤い衣装を身にまとった Mae Nak は、自身を楽しませるかのごとく騒がしく鳴り響くテレビをぼんやりと見つめている。
同所には生存中の Mae Nak をイメージした数々の肖像画も飾られている。そこには、金箔で塗られた赤ん坊の像も祀られている。 2 つの像の下にはガラス製の棺が安置、紙幣で半分覆われたプラスチック製の赤ん坊の人形が横たわっている。
街の至る所にあるお店では干支を描いた小さな封筒のお守りが売られている。

「良い行いをした素晴らしい人を崇めることこそタイの文化だと思います。Mae Nak は夫を愛し続けていただけ。決して騙そうとしたわけではないのです。 私は、愛情と仕事、学業に恵まれるよう Mae Nak に祈願しました。(原文英語)」と、刺青の入ったオーストリア人の夫 Gerry さんと共に参拝に訪れていた Tuenjai さんは言う。
同所の周りは玩具やベビー服、その他ベビー用品を売る露店で賑わっている。 「自分のために購入するのではなく、Mae Nak にお供えするためにみなさん買われるのですよ。」と店主が小さなパジャマを指しながら教えてくれた。
友人と Wat Mahabhut を訪れていた 28 歳の Tanarat Rattanekvatee さんは、「多くのタイ人は超自然現象を信じています。問いかければ、答えが返ってくるような。恩恵を与えてくれ、また願いを叶えてくれるという思いがあるのではないでしょうか。」と、話してくれた。
不幸を呼ぶ幽霊にオーガズムを奪う霊
もちろんタイ人だって幽霊は怖い。 殺されたことを恨み殺人犯を苦しめる霊もいれば、木の霊が家を建てる木材にとり憑くこともある。
妊娠中に亡くなった女性は赤ん坊の魂も抱えているため、特に不吉とされている。 鋭い歯に大きな口を持ち、激しい飢餓感を抱える餓鬼は、人を殺人鬼や人食い鬼へと変貌させる。また、睡眠中に男性のオーガズムを奪い去る女の幽霊もいるという。 こういった幽霊対策には、女性用の下着を身に付けて布団に入るのが良いのだそうだ。その数は少ないとはいえ、大勢の人々を震え上がらせた霊たちは、悪霊から身を守ろうと戦々恐々とする人々から常に供物を捧げられている。
もちろん全ての幽霊がこの世を去った人間というわけではない。 化け物や小鬼もいれば、下から神経筋をぶらさげながらフワフワ浮遊する首もいる。
霊魂の存在を信じながら像に食べ物をお供えし、崇める。

温かい我が家
霊魂はどこにでもいる。 まるでそれは不動産保険でもあるかのように、タイの家やビルの屋外には台座に乗せた小さな人形の家にも似た「霊魂ハウス」が置かれている。
尖った屋根を持つこの小さな家の中には、小立像、水、花、線香、その他霊的なシンボルが飾られている。 タイ人は建物を建てるとき、土地のまわりに漂う浮遊霊たちに捧げる小さな家を建てる。家主は、霊達が新居の守り神となってくれるよう願うのだ。
建物の解体や売却する際、あるいはその場所は悪いと判断された場合、そこの霊魂ハウスをゴミのように廃棄、あるいは他の霊魂ハウスと共に静かに大地へとお帰り頂くようベルガンボダイジュの木の下にひっそりと捨てるのである。
ただし、捨てられた霊魂ハウスをお土産代わりにするのはやめた方がいい。一定の場所に帰属する霊魂を連れてくるだけでなく不幸を招くとされているからだ。
男根棒に捧ぐ
精子増加のシンボルとして伝わる木製の男根像は、子供を授かりたい女性や客引きに勤しむ売春婦、プレイボーイを目指す人にとっては必須アイテムになっている。さらにその男根像がハンドメイドであれば商売繁盛をもたらすとも言われている。これら男根像はキーチェーンサイズの小さなものから庭飾りにぴったりな高さ 2 メートル以上もある勃起型男根像まで多岐に及ぶ。

また、タイ人は仏教僧や熟練した奇術師に描いてもらった刺青は弾や刃物から身を守り、愛情や幸運をもたらすと信じている。
皮肉なことに、凝ったデザインの刺青は、シンプルなもの(たとえそれがゴマ油で描いた「刺青」でも)と比べると効果がないとされている。刺青は職人技でありファッションでないからだ。
黒魔術の女性と男性
たいして害のない他愛もない迷信があるかと思えば、ある形となって心理的恐怖を煽るもの存在する。黒魔術だ。タイには恐ろしい魔術の犠牲者もいるのである。
人の未来を破滅へと導くため、怪しげなレシピをもとに、未亡人がバスケットを肩に乗せバランスを取るために使っていたしなやかな棒で何やら怪しげな液体を混ぜ合わす。黒魔術者は度々、たくみな話術と奇妙な儀式によって迷信深い人々を怖がらせ、悪霊から身を守るには大金を払ったり、反道徳行為や悪行に手を染めるしかないとせまるのだ。
「幽霊に関する嘘をたくさんつく黒魔術者が、知り合いにいますよ。」と、サフラン色のローブを身にまとった仏教僧、 Phra Phansak さんが Wat Mahabhut にて行った法話のあとに話してくれた。
「タイ人は迷信好きです。信仰が厚いですからね。 特に現在は不況です。人々は迷信を信じやすくなっています。 それから、彼らは仕事もなく十分な教育も受けていませんしね。」

反乱の多いタイ政権でも、復讐に燃える邪悪な魂を呼び起こすため政治家や官僚、民主主義賛成者が黒魔術に頼り、堕落していくという出来事も時折起こる。
こういった黒魔術には、腐敗した使用済みの棺の一部や暴動で亡くなった被害者の遺骨、荒廃した寺院のレンガや残骸、その他仏教に関連するグッズ、欠けた托鉢の器など死を連想させる物が材料として使用される。
このように生と死、食、結婚、自然災害、農耕、ペット、健康問題などを語ると必ず登場するのが幽霊や悪霊、魔術、そして精霊だ。
一番上の写真をクリックすると、フォトギャラリーが見れる。写真を見れば、貴方はさらに幽霊ライフをエンジョイしにタイへ行きたくなるに違いない。
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